システム開発プロジェクトにおいて、期限ギリギリになってから急いで対応したり、挙げ句の果てにプロジェクトが炎上してしまうケースは少なくありません。
なぜエンジニアはこのような状況に陥りやすいのでしょうか?
この記事では、エンジニアがプロジェクトの進行管理で陥りやすいポイントや、炎上の原因とその防止策について考えてみます。
エンジニアが期限ギリギリになる主な理由
過小見積もり
多くのプロジェクトで、エンジニアやプロジェクトマネージャーが作業時間を過小に見積もってしまうことが原因の一つです。特に初めて取り組むタスクや、複雑な技術要素を含む場合、見積もりが甘くなり、後になって実装が予想以上に時間がかかることが発覚するケースが多々あります。
原因:技術的な未知数が多い、複雑な要件の理解不足、経験の浅さ。
対策:リスクを考慮したバッファを設定し、見積もり時に技術的な不確実性をしっかりと検討する。
技術的な複雑さ
特にエンジニアリングでは、実際に手を動かしてみると技術的な課題や障害が出てくることがあります。たとえば、新しい技術スタックを採用した場合や、複数のシステム間の連携が必要な場合、設計段階では気づかなかった問題に直面することがあります。
原因:技術的課題を過小評価する、もしくは適切に予見できない。
対策:新しい技術を採用する際は、小さなプロトタイプを作ってリスクを早期に検証する。
仕様変更
クライアントやプロダクトオーナーからの仕様変更も、プロジェクトが期限ギリギリになりやすい原因の一つです。開発の途中で機能追加や仕様変更が発生すると、最初の見積もりが無意味になり、作業量が増えていきます。
原因:プロジェクト開始時の要件定義が不十分で、開発途中での仕様変更が頻繁に発生する。
対策:要件定義の段階でしっかりと仕様を固め、変更が発生した場合はその影響をプロジェクト全体に反映し、スケジュールを見直す。
コミュニケーション不足
エンジニア間や、エンジニアと他のチーム(デザイン、プロダクトマネジメントなど)とのコミュニケーション不足が、後々の遅延につながることもよくあります。情報共有が不十分だと、認識のズレや誤解が生じ、最後になって「思っていたものと違う」という事態が発生します。
原因:チーム内の連携がうまくいかず、進捗や問題が共有されない。
対策:定期的なミーティングや進捗報告を行い、問題を早期に発見して対処する。
炎上の原因は?計画が破綻するメカニズム
デッドライン効果
エンジニアに限らず、人はデッドラインに近づくと急に作業が進むことがあります。これをデッドライン効果と言います。しかし、デッドライン間際まで作業を先延ばしにすると、作業が追いつかなくなり、炎上することが多くなります。
中間デッドラインを設け、進捗を定期的に評価していくことで、大きな遅れを未然に防ぐ。
スコープクリープ
プロジェクトが進行する中で、クライアントやプロダクトオーナーからの要求が増えていくことをスコープクリープと言います。プロジェクト開始時に定めた要件が、途中で膨れ上がっていくと、その分開発が遅延し、最終的にリソースや時間が足りなくなります。
プロジェクトのスコープを明確に定め、変更が発生した場合はその影響を評価し、必要であればデッドラインの見直しを行う。
炎上を防ぐための対策は?
炎上を防ぐためには、まず正確な見積もりが不可欠です。過小見積もりが発生しないよう、プロジェクト開始時にリスク要因を洗い出し、バッファを設けて計画を立てることが重要です。また、過去のプロジェクトのデータや実績を活用し、より現実的な見積もりを行いましょう。
大規模なプロジェクトや長期に渡る開発では、スクラムやアジャイル開発の手法を導入することで、進捗を細かく管理し、問題が発生した際にも迅速に対応できる環境を作ることができます。スプリントごとに目標を設定し、開発の進捗をこまめに確認することで、遅延や炎上を防ぎやすくなります。
チーム内のコミュニケーションは、プロジェクトの成否を大きく左右します。定期的なスタンドアップミーティングや進捗確認ミーティングを実施し、問題や課題を早期に共有できる体制を整えることが大切です。特にリモートワークが増えている昨今では、適切なツールを使った情報共有が不可欠です。
プロジェクトのスコープを明確に定め、要件の追加や変更が発生した際は、スコープ管理を徹底することが必要です。仕様変更がスケジュールやリソースに与える影響をきちんと評価し、必要であればスケジュールを調整する柔軟性も重要です。
まとめ
エンジニアが期限ギリギリになり、プロジェクトが炎上してしまう背景には、技術的な複雑さや過小見積もり、コミュニケーション不足など、さまざまな要因が絡み合っています。しかし、適切な進捗管理やコミュニケーションの強化、スコープ管理を徹底することで、これらの問題は未然に防ぐことができます。
プロジェクトを成功に導くためには、計画的な進行と定期的な振り返りを習慣づけ、チーム全体が常に進捗を共有し、リスクに柔軟に対応できる体制を整えることが重要です。
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